こんにちは。Johnです。



日本では、魚が減った理由として温暖化海流の変化、あるいは外国船の影響が語られることがほとんどです。

しかし海外の研究や政策評価を見ると、日本の漁業はまったく別の視点から評価されています。

国際機関や研究論文では、日本の漁業はしばしば「資源管理が遅れている」あるいは「十分に資源管理されていない」と指摘されています。

これは一部の研究者の個人的な意見ではなく、OECDや世界銀行などの国際機関のレビューや漁業研究の中でも繰り返し言及されてきた評価です。

本稿では、日本の漁業資源管理が海外からどのように見られているのかを、国際機関のレビューや学術研究の内容をもとに整理します。



要約

  • 海外の国際機関や研究論文では、日本の漁業は「資源管理が遅れている」「十分に資源管理されていない」と評価されている。
  • 多くの国は過去の過剰漁獲を失敗として認め、厳格な資源管理へ転換したが、日本はその認識共有と制度転換が遅れている。
  • 日本では温暖化や中国船などの外的要因が強調されやすく、過剰漁獲や管理の弱さが社会に十分伝わっていない。
  • 事実を伝えるべきメディアの報道不足と、失敗を認める政府の明確なアナウンスが乏しい。



目次



国際機関が見る日本の漁業管理

先進国の政策評価を行う国際機関として知られるOECD(経済協力開発機構)は、各国の環境政策や漁業政策を定期的にレビューしています。

OECDの日本に関する環境レビューでは、日本の漁業について、北西太平洋の一部魚種では過剰漁獲が懸念されており、より持続可能な資源管理が必要であると指摘されています。

この指摘は外交的にかなり穏やかな表現ですが、政策評価としての意味は明確です。

日本の漁業は資源管理がほとんど行われておらず、改善の余地が大きいという評価になります。

さらにOECDは、世界の漁業政策を比較する中で、漁業補助金の設計が過剰漁獲を助長する可能性についても警告しています。

これは日本に限った問題ではありませんが、日本の漁業政策の構造にも当てはまる部分があると指摘されています。

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世界銀行による2030年の世界の漁業生産量の予測では、悲しい事に日本だけ9%減少、世界全体では23.6%増加と予測されています。

しかし、実際には2023年の時点で日本は23%もの大幅な減少、逆に世界全体では37%も増加しているのです。



学術研究で指摘されている問題

学術研究でも、日本の漁業資源について同様の問題が指摘されています。

漁業経済や資源管理を扱う研究では、日本の漁業資源の減少について、環境変化だけではなく漁獲圧の問題も重要な要因として分析されています。

日本のEEZ内でも、過剰漁獲が漁獲量減少の原因の一つになっている可能性があるとする研究は少なくありません。

つまり海外の研究では、日本の魚が減っている理由を温暖化や海流の変化、外国船の乱獲だけで説明することはほとんどないのです。

漁業管理の問題が重要な要因として扱われています。

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もし魚が減った原因が温暖化や外国漁船であるなら、同じように影響を受けている他国の漁業も日本と同じように減っていなければ説明がつきません。

しかし実際のところ、グラフが示す通り世界の漁業生産量(天然、養殖)は増え続け、日本は一人負け状態です。

海外で日本の漁業が問題視されているのは、外的要因(温暖化、黒潮大蛇行、中国船による乱獲、鯨による捕食など)の存在そのものを否定しているからではなく、それだけでは日本の資源減少を説明するのは不可能だと考えられているからです。




世界の漁業管理との違い

海外の研究者が日本の漁業制度を論じるとき、必ずと言っていいほど指摘されるのが管理制度の違いです。

多くの先進国では、資源管理は科学的資源評価を中心に設計されています。

資源量を評価し、その結果に基づいて総漁獲量を決め、必要に応じて個別割当やサイズ規制、産卵期の禁漁などを組み合わせて資源を維持します。

アメリカ、ノルウェー、EU、オーストラリアなどでは、このような科学的管理が政策の中心になっています。

一方、日本の漁業管理は長い間、地域の慣習や漁業者の自主的な取り決めを基礎とし、科学的根拠に基づいた管理は行われて来ませんでした。

地域ごとの合意形成を重視する仕組みであり、この制度は日本の漁業社会に適応したものでもあります。

しかし海外の研究者から見ると、この仕組みは科学的管理の比重が小さいと評価されることがほとんどです。



なぜ日本の漁業は厳しく評価されるのか

海外の研究で日本の漁業が厳しく評価される理由は、制度の構造にも関係しています。

日本の漁業政策は長い間、資源回復よりも短期的な漁業者の生活や地域経済の維持を重視してきました。

補助金や放流事業、燃料支援などの政策はその典型であり、資源を直接回復させる規制よりも短期的な産業維持の側面が強かったと指摘されています。

さらに、日本の漁業管理は国、都道府県、漁協の三層構造で運用されています。

この仕組みは地域の実情に対応できる一方で、資源管理を統合的に行うことが難しい制度であると海外研究では指摘されています。

また欧米の漁業管理と比較すると、日本では魚種によってはサイズ規制や漁獲枠が存在しない、あるいは非常に緩い場合もあります。

この点も国際比較では管理が弱いと評価される要因になっています。



多くの国は過去の失敗から資源管理を強化した

重要なのは、日本だけが漁業資源を減らしたわけではないという点です。

世界の多くの国でも、20世紀には過剰漁獲によって魚が大きく減少しました。

しかし多くの国では、この失敗を認めた上で制度を大きく変えました。

1980年代以降、アメリカ、ノルウェー、EU、オーストラリアなどでは、科学的資源評価に基づく厳格な漁獲規制が導入されました。

総漁獲量の制限、個別割当制度、サイズ規制、産卵期保護などを組み合わせ、資源回復を政策の中心に据えるようになりました。

その結果、これらの国ではタラやニシンなど、多くの魚種で資源回復の成功例が報告され、漁業先進国と呼ばれるようになりました。

つまり海外の研究者から見ると、過去の過剰漁獲は多くの国が経験した問題であり、重要なのはその後どのように制度を変えたかという点になります。

以下、日本のハタハタ、タチウオ、スルメイカ、アジ、サンマ、タコ、アサリ、クルマエビの漁獲量推移のグラフです。

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タコ漁獲量の推移(1956–2024)
アサリ漁獲量の推移(1956–2024)
クルマエビ漁獲量の推移(1956–2024)
出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計」

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公海上で他国と奪い合うように漁獲しているサンマと違って、外国船の影響がないハタハタ、タコ、アサリ、クルマエビに至るまで大幅に漁獲量が減少し、資源はほぼ枯渇状態です。



日本はまだ失敗を認められていない

海外の研究者が日本の漁業政策を分析する際、しばしば指摘されるのがこの点です。

多くの国では、資源減少の原因として過剰漁獲を明確に認め、その反省から制度改革が行われました。

しかし日本では、魚が減った理由として環境変化や海流変動、外国船の影響が強調されることが多く、漁獲圧の問題が政策議論の中心になることはまずありません。

いまだに「日本の魚は減っていない」と言い続ける有識者の影響も大きいです。

そのため海外の研究者から見ると、日本の漁業は「改革が遅れている国」と位置づけられることが多いのです。

言い換えれば、多くの国は数十年前に自国の失敗を認めて資源管理へかじを切りましたが、日本はいまだに責任転嫁を続け、その段階に至っていないということです。

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先ほど示した世界と日本の漁業生産量を比較したグラフに、責任転嫁を続けた結果がはっきりと示されています。

海の面積(EEZ:排他的経済水域)が日本の約半分のノルウェーに漁業生産量で負け、日本の1割の海洋面積しかない韓国にも追い越されています。

海外から厳しく見られているのは、過去に失敗したことそのものではなく、失敗の認識と制度転換が遅れていることです。

私は日本を愛する日本人として、自国の問題を放置して他国や環境に責任をなすりつける所業は非常に恥ずかしく、とても残念に感じています。



日本社会の最大の問題

さらに深刻な問題は、日本国内ではこの状況がほとんど共有されていないことです。

多くの日本人は、魚が減っている原因を温暖化や海流の変化、あるいは中国船など外国漁船の乱獲によるものだと本気で信じています。

しかし海外の研究では、こうした外的要因だけで資源減少を説明することはほとんどありません。

本来であれば、この事実を社会に伝える役割を担うべきなのはメディアです。

日本では、漁業資源の減少を過剰漁獲や資源管理の問題として正面から扱う報道はほぼありません。

また政府からも、過去の政策の失敗を認めるような明確なアナウンスはほとんど行われていません。

その結果、日本社会では問題の本質が共有されないまま、温暖化や外国船だけが原因であるかのような認識が広がっています。

つまり、海外から見ると日本の漁業の問題は、単に資源管理の遅れだけではないという事です。

問題の原因が社会全体で共有されていないこと、そして失敗の認識そのものが社会に浸透していないことも、大きな課題として見られているのです。

日本の漁業(水産業)が本当の意味で回復するためには、まず何が起きているのかを社会全体が正しく理解する事が必要です。

外国に指摘されっぱなしではなく、言われる前に「自ら改革する国」にしていかなければなりません。



出典

OECD, Environmental Performance Review of Japan
https://www.env.go.jp/earth/info/oecd_epr3/epr-ar_en.pdf

OECD Review of Fisheries Tokunaga et al., Fisheries Economics Research NIRA Policy Column: Japan’s Fishing Industry
 ※本記事は信頼できる一次資料をもとに調査・構成され、2026年にChatGPTのサポートによって作成されました。



それではまた。




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