こんにちは。Johnです。



大阪湾ではイカナゴ漁が三年連続で自主禁漁となり、資源状況は過去最低水準とされています。

報道では、海水温の上昇によって夏眠(かみん)がうまくいかなくなったことや、ヒラメやブリなどの捕食者が増えたことがイカナゴが激減した原因として語られています。

確かにそれらは減少要因の一部でしょう。

しかし、それを主因のように扱い、「自然が変わったから仕方がない」と結論づけてしまうならば、それは問題の核心から目を逸らすことになります。

瀬戸内海東部系群イカナゴ漁獲量の推移(1980年ピーク〜2023年)



要約

  • 夏眠や捕食者増加は例外ではなく前提条件である
  • 資源減少は総死亡(自然死亡+漁獲死亡)の構造で決まる
  • MSYは環境変動を織り込んで算出される概念である
  • 問うべきは「環境」ではなく「変動に耐える資源量を維持できていたか」である
  • 日本は制度化された漁獲上限管理を導入していない
  • 国際標準の資源管理を導入しなければ同じ崩壊は繰り返される



目次

  1. 外的要因は前提である
  2. 総死亡とMSY
  3. 問うべきは資源量の維持だった
  4. 世界の標準と日本の空白
  5. 結論



外的要因は前提である

海は常に変動する環境です。

水温は年ごとに上下し、餌の量も変わり、捕食者の数も増減します。

だからこそ水産資源管理は、環境が安定していることを前提に設計されるものではなく、環境が変動することを前提に構築されます。

変動は例外ではなく前提条件であり、それを織り込んで初めて管理と呼べます。

基本的に魚は毎年自然に増えます。

コストを掛けてわざわざ養殖する必要はありません。

人間が獲りすぎなければ、無料で勝手に増えるのが魚です。

親魚が産卵し、稚魚が一定割合で生き残り、成長して再び産卵群に加わる。

この循環が維持されていれば資源は持続します。

しかし、自然に増える量は一定ではありません。

水温の上昇によって生残率が低下する年もあれば、捕食者が増えて自然死亡率が高まる年もあり、逆に環境が整って爆発的に増える事もあります

つまり、資源が増える力そのものが環境条件によって変化するのです。



総死亡とMSY

水産資源学では、資源を減らす力は「総死亡率」として整理されます。

総死亡率は、捕食などによる自然死亡率と、人間による漁獲死亡率の合計です。

もし捕食者が増えて自然死亡率が高まっているのであれば、その分だけ漁業による死亡率を抑えなければ総死亡率は増加します。

総死亡率が資源の再生能力を上回れば、資源は確実に減少します。

この構造を数値として示す概念がMSY(最大持続生産量)です。

MSYとは、資源が自然に増える量の範囲内で人間が利用できる上限であり、持続可能性を判断するための基準です。

そして、この算出されたMSYをもとに漁獲枠(TAC)が設定されます。

ただしその値は固定ではなく、環境条件が悪化し自然増加が小さくなれば、持続可能な漁獲量も引き下げなければなりません。

捕食者の増加もその計算に含まれるのが当たり前です。



問うべきは資源量の維持だった

ここで問われるべきなのは、自然環境が変化したことではありません。

環境が変化したときに、それに耐えうるだけのイカナゴ資源量を維持してきたのかどうかです。

産卵可能な親魚量を十分に残していれば、環境条件が悪化しても資源には一定の回復力があります。

しかし、再生産を安定して支えられる水準まで親魚量を維持していなければ、わずかな環境変動でも資源は急激に減少します。

これが日本のイカナゴの現状です。

長年の乱獲により、安定した再生産が不可能な水準までイカナゴを浪費した結果、水温のわずかな変動や、捕食者の一時的な増加に耐えられず一気に激減したのです。

そして報道では、イカナゴ激減の核心である乱獲の話は一切出てきません。

代わりに原因として伝えられるのは、地球温暖化や夏眠、捕食者の増加、貧栄養化ばかり。

「臭い物にはふたをする」とは、日本人のこのような姿勢から生まれた言葉です。

これではイカナゴ資源が回復するはずがありません。



世界の標準と日本の空白

IMG_0273
青が世界全体の水産物の水揚げ総量赤が日本の水揚げ総量です。

水産資源管理を行うか否かで、これほど大きな差が生まれます。

欧州連合(EU)の共通漁業政策(CFP)や米国のマグナソン・スティーブンス漁業保存管理法では、資源評価に基づく漁獲上限(MSYベース管理)が数十年にわたり制度化されています。

自然死亡や加入量の変動を前提に漁獲量を調整する仕組みは、国際的には標準的な資源管理です。

一方、日本のイカナゴはTAC(漁獲枠)対象種ではなく、科学的に算出された漁獲上限を設定する仕組みは存在していません。

環境変化を反映し、自動的に漁獲水準を調整する制度も整備されていません。

操業の可否は現場判断、自主的な休漁に委ねられています。

ルールや制度が整っていないのだから、はっきり言ってしまうと獲り放題です。

国が資源管理を放棄しているのです。

その結果、環境条件が悪化した際、イカナゴ資源に十分な余力がなく一気に激減してしまったのです。



結論

資源は偶然では守れません。

対策をしなければ、あっという間に獲り尽くされてしまいます。

資源は制度で守るものです。

日本が本気でイカナゴを守りたいのであれば、夏眠や捕食者の増加を嘆く前に、世界で数十年運用されてきた資源評価と、漁獲上限設定という標準的な管理手法を導入する以外に方法はありません。

そして、日本でも一部漁獲枠(TAC)が設定されている魚種もありますが、数字がデタラメで機能しているとは言えない状態です。

漁獲実績を数倍も上回る巨大な漁獲枠であったり、枠に達しても漁師がゴネれば即増枠される極めて異常な日本のTAC制度。

本来であれば、日本の漁師から「国は資源管理をきちんとやって欲しい」「資源が崩壊したら漁獲は成り立たない」「国は漁師に廃業しろと言っているのか」と不満が噴出してもおかしくありません。

誤魔化すためのTACではなく、資源を守り持続的に利用するための正しいTAC運用であるべきです。

さらに、環境変動を前提とし、資源量に応じて漁獲を調整する制度を整えない限り、イカナゴ激減と同じ構図は繰り返されます。

制度を整えないまま自然のせいにし続けるのであれば、日本の水産業に未来はありません。

後先考えず獲り尽くす漁業は、40年前には既に時代遅れだったのです。

日本はいつまでこのような過ちを繰り返すのでしょうか。



出典

・FAO Fisheries Glossary – Maximum Sustainable Yield (MSY)
https://www.fao.org/4/y1958e/y1958e09.htm

・European Commission – The Common Fisheries Policy (CFP)
https://oceans-and-fisheries.ec.europa.eu/policy/common-fisheries-policy-cfp_en

・NOAA Fisheries – Magnuson-Stevens Act
https://www.fisheries.noaa.gov/topic/laws-policies/magnuson-stevens-act

・水産庁「TAC(漁獲可能量)制度について」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_tac/index.html

※本記事は信頼できる一次資料をもとに調査・構成され、2026年にChatGPTのサポートによって作成されました。








それではまた。




スクリーンショット 2025-04-14 21.49.49

スクリーンショット 2025-04-14 21.51.48