こんにちは。Johnです。

水産庁は2026年度のスルメイカ漁獲可能量(TAC)を6万8400トンとする方針を示しました。

これは2025年度当初のTACから約5万トンの大幅増となります。

しかし、この決定には重大な問題があります。



要約

  • TAC超過と採捕停止が起きた直後に大幅増枠が検討されている。
  • 一時的な豊漁は資源回復を意味せず、長期的には減少傾向が続いている。
  • TACは資源を増やす制度ではなく、減らさないための上限である。
  • 短期判断の繰り返しは資源減少と価格不安定を招く。



目次

  1. スルメイカTAC大幅増は妥当なのか
  2. 世界の資源管理とTACの意味
  3. 世界との比較で見る日本の異常さ
  4. 再び同じ失敗を繰り返す可能性
  5. TAC増枠でもイカが安くなるとは限らない理由



スルメイカTAC大幅増は妥当なのか

まず事実として、2025年度は当初TAC(漁獲枠)を1万9200トンに設定したにもかかわらず、スルメイカの豊漁を理由に2度の増枠が行われ、最終的に2万7600トンまで拡大しました。

それでも小型船による漁獲がTAC(27600トン)を超過し、全国的な採捕停止命令が出るという事態に至っています。

つまり、TACが守られず、資源管理が機能しなかった直後に、さらに大幅増枠するという構図です。

スルメイカ資源は海水温や海流変動の影響を強く受けるため、漁獲量は年ごとの変動が極端に大きいことで知られています。

一時的に漁獲が増えた年があったとしても、それが資源回復を意味するとは限りません。

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実際上記のグラフの通り、日本周辺のスルメイカ資源は主に日本の乱獲により長期的に減少傾向にあり、近年は記録的不漁が続いてきました。

あれだけ豊漁と騒がれた2025年ですら、最盛期(66万トン)の5%未満の漁獲量しかない状況であり、ニュースで繰り返し報道される「豊漁」のワードには違和感しかありません。

大手メディアが正しく報じないから、現状を知らずに豊漁を喜ぶ無知な日本人が増えるのだと怒りすら感じます。

もし、彼らが真実を伝える優秀な報道機関であったならば、世界で日本の水産資源だけが減り続けるような異常事態にはならなかったでしょう。

↓青が世界の水産資源の生産量(天然と養殖)、赤が日本の生産量です。

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そして、漁獲量がピーク時の5%に満たないと知っていれば、それを豊漁と呼べるはずはなく、日本のスルメイカ資源は壊滅状態であると報道されていたはずです。

そんな資源枯渇状態で、無理矢理にでも捕まえて売ろうというのだから、スルメイカの価格が高騰するのは当たり前の話です。

そうした背景を考えれば、本来必要なのは正しい報道と厳格な漁獲圧管理であり、急激な増枠ではありません。

さらに問題なのは、前年に枠超過が起きたにもかかわらず、その原因分析や監視体制の改善が十分に示されないまま、最大案が採用されようとしている点です。



世界の資源管理と漁獲枠(TAC)の本来の意味

世界各国で行われている水産資源管理の基本は、「今年たくさん獲れるから多く獲る」のではなく、「将来も獲り続けられる量を毎年獲る」ことにあります。

資源管理された国では、科学的根拠に基づいて決められた量を獲ります。

例えば、100匹イカがいるから全部捕まえるのではなく、未来を考えてその内の10匹までに抑えて漁獲するのが漁獲枠であり、資源管理です。

従って、資源管理された国では豊漁も不漁もなく、来年も再来年も安定して決められた量を獲り続けられるのです。

我々に馴染み深い、ノルウェーのサバはその代表例です。

漁獲先進国は、資源量の推定、加入量、過去の漁獲圧、産卵量などを科学的に評価し、資源を減らさない範囲で年間の総漁獲量を制限します。

この制限値がTAC(漁獲枠)であり、言い換えれば「これ以上獲ると資源が減る上限」です。

漁業先進国では、一時的な資源増加を理由に急激な追加増枠を行うことはありません。

漁獲枠に達したらそれで漁は終了であり、国民もその意味をきちんと理解しています。

しかし、自らの乱獲を認めず、昭和のやり方を続ける漁業後進国日本では、当たり前のように増枠されます。



世界との比較で見る日本の異常さ

多くの国では資源評価が悪化すればTACは直ちに縮小され、必要であれば禁漁や操業制限も直ちに実施されます。

短期利益より長期的な資源維持が最優先されます。

一方、日本では「今年は多く獲れたから増枠する」という短期判断が繰り返され、翌年に急減少し再び規制を強化するという不安定な運用が続いてきました。

その結果、「来年は魚が獲れるかわからないから」「漁に出ても燃料費で赤字になるから」と漁業者が廃業を選ぶのです。

TAC制度が存在しても、科学的根拠に基づいて正しく運用されなければ何の意味もありません。

漁獲枠が正しく機能していない証拠として、日本には分かりやすい例があります。

豊漁や大漁という言葉は、資源管理されていない国で使われるワードなのです。

しっかり管理されているのであれば、TACで定められた量を漁獲して終了するため、豊漁だとか大漁という言葉が使われるはずがないのです。

ニュースで「豊漁」と出ている時点で、「日本は科学的根拠に基づいた資源管理をしていない」と宣言している事と同じ意味になります。

本来は水産資源を守り、漁業者の収入を安定させ、将来の食糧を維持するためのTAC制度であるはずです。

しかし、日本では水産資源を維持・管理する事よりも政治家の得票が優先されます。

だから、漁業関係者が政治家にゴネれば今回のように枠が増えるのです。

また、資源管理の基本をほとんどの日本人が知らないため、その事に異論を唱える人が非常に少なく、大きな社会問題として認知されていないのが現状です。

この点で、日本の資源管理・教育は国際標準から大きく遅れていると言わざるを得ません。



再び同じ失敗を繰り返す可能性

もし今回の漁獲増が一時的なものに過ぎなかった場合、再び資源減少が起き、急激な規制強化や禁漁措置が必要になる可能性があります。

これは漁業経営と市場価格を不安定にし、資源回復の機会も奪います。

資源管理とは、「獲れる年に最大限獲る」ことではなく、「長期的に獲り続けられる状態を維持する」ことです。

当たり前のことですが、それを日本が行って初めてスルメイカの価格が安定するのです。

「目の前のイカを獲れるだけ獲る」昭和のやり方を続けている内は、到底叶わない望みです。

そして、スルメイカの価格が安定すると言う事は、漁業者の収入も安定する事を意味します。

本来TACとは、消費者にも、漁業者にも、国家にもメリットのある制度なのです。



TAC増枠でもイカが安くなるとは限らない理由

漁獲枠拡大の報道により「これでイカが安くなる」という声もありますが、スルメイカが獲れるかどうかは資源量次第であり、燃料費や物流費などのコスト上昇も考慮すると、「漁獲枠を増やしたから単純に価格が下がる」とは思えません。

漁獲枠(TAC)を増やしても、スルメイカ資源そのものが増えるわけではないのです。

資源量は産卵成功率や海洋環境、漁獲圧の管理によって決まります。

枠を増やせば資源も増えるというのは完全な誤解です。

現実には、いつ獲れなくなってもおかしくない極めて危機的な状態です。

これが例えば漁業先進国であれば、スルメイカを守るために迷わず全面禁漁にするレベルの資源量しかないのです。

もし再び資源が減少すれば、将来的にさらなる価格高騰が起きる可能性は非常に高いです。

本当に安定して食べ続けるために必要なのは、短期増枠ではなく持続的管理です。

世界で行われている一般的な資源管理を日本が行わなければ、明るい未来はやってきません。

そして、このような短期的判断によるTACの増減と管理の混乱が繰り返される限り、日本の水産資源は今後も減り続けるだけです。

資源管理をしているふりをしながら実質的な対策を行わない日本の状況は、いい加減終わらせなければなりません。




出典

  • 水産庁「TAC(漁獲可能量)制度について」
  • 水産庁 スルメイカ資源評価・TAC設定資料
  • 水産研究・教育機構 スルメイカ資源評価報告
  • FAO(国連食糧農業機関)世界漁業資源評価報告
※本記事は信頼できる一次資料をもとに調査・構成され、2026年にChatGPTのサポートによって作成されました。


それではまた。





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