こんにちは。Johnです。

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世界の水産資源を脅かす大きな要因のひとつが「IUU漁業」です。

IUUとは Illegal(違法)・Unreported(無報告)・Unregulated(無規制) の略称で、国際的に最も解決が急がれる水産課題です。

そして日本も例外ではなく、多くの資源が減少し続け、漁獲量は1980年代の3分の1以下に落ち込んでいます。

IUU対策を「他人事」と考える余地はなく、日本こそ優先的に取り組むべき課題なのです。



要約

  • IUU漁業(違法・無報告・無規制)は世界の資源を脅かす最大要因の一つ。
  • 日本では密漁や無報告、管理対象外の魚種が多く、資源減少を招いている。
  • 厳格に管理されているのはクロマグロのみで、他は事実上無規制。
  • IUU防止の鍵はトレーサビリティで、2025年12月からシラスウナギにも導入予定。
  • 輸入依存を減らすためにも、日本が真剣にIUU対策を取る必要がある。



目次

  1. Illegal(違法漁業)──日本での事例
  2. Unreported(無報告漁業)──日本での事例
  3. Unregulated(無規制漁業)──日本の実態
  4. トレーサビリティの重要性
  5. 日本の漁業管理はなぜ遅れているのか
  6. 世界第3位の市場としての責任



Illegal(違法漁業)──日本での事例

違法漁業とは、国や国際機関が定めたルールを破って行う操業のことです。

日本では アワビやナマコの密漁 が代表例で、暴力団が関与するケースもあります。

2018年の漁業法改正を受け、2020年12月の施行で密漁に対する罰則が大幅に強化されました。

従来は「懲役3年以下または罰金200万円以下」でしたが、「懲役3年以下または罰金3,000万円以下」となり、取り締まりの厳格化が進められました。

しかし、密漁は依然として後を絶たず、資源を圧迫しています。



Unreported(無報告漁業)──日本での事例

無報告漁業とは、漁獲量や操業実態を正しく届け出ないことです。

日本では クロマグロの不報告問題 が国際会合で取り上げられ、2025年には全国初の摘発が行われました。

漁獲統計の過少申告や小規模漁業の未報告も資源評価を歪めており、科学的根拠に基づく管理を阻害しています。



Unregulated(無規制漁業)──日本の実態

無規制漁業とは、管理の枠組みが存在しない操業を指します。

日本に関連する例としては、2015年にNPFC(北太平洋漁業委員会)が設立されるまで国際的管理がなかった 公海サンマが典型です。

しかし問題はこれだけではありません。

日本近海で漁獲される魚種は400種以上ありますが、国際的に厳格な漁獲枠の下で管理されているのはクロマグロだけです。

サンマ、イワシ、サバといった主要魚種ですら、資源評価やTACが形式的に存在するだけで、実効性のある管理は行われていません。

多くの沿岸魚種はそもそも管理対象外であり、事実上「無規制」の状態に置かれています。

こうした管理の空白が、日本の資源減少を止められない最大の要因です。



トレーサビリティの重要性

IUU漁業を防ぐために不可欠なのが「トレーサビリティ(追跡可能性)」です。

これは「誰が・どこで・どのように獲ったか」を漁獲から消費者の食卓まで追跡できる仕組みです。

  • EUは2010年から海産魚のほぼすべてを対象に輸入時の漁獲証明を義務化。
  • 米国はSIMP(Seafood Import Monitoring Program)で、マグロやタコなど13種群約1,100種にデータ提出を義務付け。
  • 日本ではアワビとナマコだけでほぼ機能していない。


そんな日本でも2025年12月からは、長年密漁と闇流通の温床だったシラスウナギ(全長13cm以下のニホンウナギ稚魚)が初めて対象に加わることが確定しています。

採捕番号の付与や取引情報の記録・伝達、輸出時の証明制度が義務化され、これまで「密漁天国」と呼ばれてきた分野にようやく制度的な光が当たります。

ただし、実効性が伴うかどうかは監視・取締りの運用次第であり、制度を形骸化させないことが今後の最大の課題です。



日本の漁業管理はなぜ遅れているのか

2018年の漁業法改正で「科学的根拠に基づく資源管理」が理念として掲げられましたが、実効性は伴っていません。

その理由は明確です。

  • 戦後から続く「漁師が獲りたいだけ獲る」という自由漁業の慣習
  • 地域漁協や政治的圧力による規制への反発
  • 科学的データや研究体制の不足
  • 短期的な漁獲高を優先する経済構造
  • 国際的枠組みへの参加・対応の消極性

こうした要因が重なり、厳格な国際管理下にあるのはクロマグロのみという異常な状況が続いています。

EUや米国が科学的管理によって資源回復に成功しているのに対し、日本は依然として「制度設計の段階」にとどまっているのが現実です。



世界第3位の市場としての責任

日本は世界第3位の水産物輸入国であり、国内消費の約半分を輸入に頼っています。

日本が「IUU由来の水産物を市場に入れない」と宣言すれば、国際的に極めて大きなインパクトを与えます。

資源が枯渇寸前の現実を前に、いくら国内で「資源管理をする」と言っても、IUU対策が伴わなければ意味がありません。

最低限、すべての水産物にトレーサビリティを導入し、不正な漁獲物を市場から徹底的に排除することが不可欠です。

そもそも資源管理とIUU漁業の阻止を本気で行っていれば、ここまで輸入に依存する必要はなかったはずです。

今の日本は、自らの管理の失敗を輸入によって穴埋めしているに過ぎません。

そんな中、資源管理が遅れすぎている漁業後進国・日本にとって、2025年12月から始まるシラスウナギへのトレーサビリティ導入は数少ない希望の光と言えるでしょう。

この一歩を無駄にせず、真に持続可能な漁業への道筋をつけられるかどうかが問われています。



出典

  • 水産庁「水産流通適正化法」関連資料
  • 農林水産省 漁業法改正関連資料
  • NPFC(北太平洋漁業委員会)公式情報
  • EU漁獲証明制度、米国SIMP制度公開資料

※本記事は信頼できる一次資料をもとに調査・構成され、2025年にChatGPTのサポートによって作成されました。




それではまた。





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