こんにちは。Johnです。

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ニュースで「赤とんぼが激減している」と伝えられると、多くの人が「昔の田舎の風景を守りたい」と感傷的に受け止めます。

しかし、それだけでは本質を見誤ります。

赤とんぼ、とりわけ代表種アキアカネの激減は、日本の生態系全体に及ぶ深刻なシグナルです。



要約

  • 赤とんぼ(アカトンボ/アキアカネ)の激減は「景色」ではなく「生態系危機」のサイン
  • キーストーン種(ラッコ・ヒトデ)の事例に見るように、一種の消失が全体に連鎖
  • ネオニコチノイド系農薬が水辺の食物網を崩壊させ、ウナギやワカサギにも影響
  • トキ再導入やオオカミ再導入の事例は、生態系回復の重要性を示す
  • サケ資源は人工ふ化依存で自然産卵は数%、MSC認証も得られず国際基準から外れている



目次

  1. 生態系とは何か
  2. キーストーン種の考え方
  3. 農薬と赤とんぼの激減
  4. 生態系を回復させる実例
  5. 熊問題とオオカミ再導入
  6. サケの遡上と栄養循環
  7. 必要なのは「生態系の視点」



生態系とは何か

生態系とは、生き物と環境がひとつの仕組みとしてつながっている状態です。

田んぼを例にとると、プランクトンを小エビやヤゴが食べ、それをカエルや魚が食べ、さらに鳥や哺乳類が利用します。

すべての生物がつながりを持ち、循環を作っています。このバランスが崩れると、連鎖的に多くの生き物が失われます。

赤とんぼはその循環の一部を担い、水田と陸をつなぐ役割を果たしてきました。

その赤とんぼがいなくなりつつあるという事実は、田んぼという生態系そのものが壊れかけている証拠なのです。



キーストーン種の考え方

生態系の中には「キーストーン種」と呼ばれる、生態系全体を支える重要な生物が存在します。

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ラッコはその代表例です。ラッコはウニを食べることでウニの増えすぎを防ぎます。

もしラッコがいなくなるとウニが爆発的に増え、海藻の森(ケルプ林)が食べ尽くされます。

ラッコが海藻を体に巻きつけてぷかぷか浮かぶ光景は、ラッコがいるからこそ成り立っているのです。

もう一つ有名な例が、アメリカ・ワシントン州の潮間帯でのヒトデの研究です。

ヒトデがいた頃、その岩場にはムラサキイガイやフジツボ、藻類、小さなカニや巻貝など、さまざまな生き物がひしめき合い、多様な生態系が維持されていました。

ところが、研究者が数年間にわたって実験的にヒトデを取り除くと、捕食されなくなったムラサキイガイが一気に繁殖し、岩場を覆い尽くしました。

その結果、他の多くの生物は居場所を失い、急速に姿を消してしまったのです。

このように、たった一種類の生物が消えるだけで、生態系全体の多様性が失われてしまうことがあります。

これが「キーストーン種」の意味です。赤とんぼや水生昆虫の減少も同じ構図で、水辺の食物網全体に影響が及びます。



農薬と赤とんぼの激減

2000年代以降、アキアカネの個体数は急激に減りました。

原因の一つがネオニコチノイド系農薬です。

この農薬は稲を守るために使われますが、水中のヤゴや水生昆虫に強い毒性を持ち、羽化を妨げます。

被害は赤とんぼにとどまらず、ウナギ、シジミ、ワカサギといった淡水生物にも広がっています。

これは「景色の問題」ではなく、「食物網の崩壊」です。



生態系を回復させる実例

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新潟県佐渡島でのトキ再導入は、生態系回復の成功例です。

地域ぐるみでネオニコチノイド農薬をやめた結果、トキの餌であるドジョウや昆虫が戻り、トキが野生で生きられる環境が整いました。

これは「トキ一種を守った」のではなく、「生態系を回復させた」からこそ実現した成果です。



熊問題とオオカミ再導入

同じことは熊問題にも当てはまります。山から熊が下りてくるのは、木の実が減ったことだけではなく、捕食者の不在による生態系のバランス崩壊が大きな要因です。

かつて日本にはオオカミが生息しており、シカやイノシシの数を抑えて森の植生を守る役割を担っていました。

オオカミが絶滅したことでシカが増えすぎ、森が荒れ、結果的に熊や他の動物の餌が減少しました。

海外では、オオカミの再導入によって生態系を回復させた事例があります。

アメリカのイエローストーン国立公園では、1995年にオオカミが再導入されました。

その結果、増えすぎていたエルク(アメリカアカシカ)が減少し、森や川辺の植生が回復しました。

ビーバーや鳥類、魚類まで多様な生き物が息を吹き返し、川の流れさえ変わったと報告されています。

これは「トロフィック・カスケード(食物連鎖の連鎖効果)」の典型例であり、オオカミが生態系を支えるキーストーン種であることを示しています。

このことからも明らかなように、熊問題の本質的な解決策は「熊を駆除すること」ではなく、オオカミの再導入などを含めた生態系の回復を真剣に議論することです。

ただし現実には、人を襲う危険がある熊を放置することはできず、短期的には駆除が避けられない場面もあります。

重要なのは、短期的な安全確保と並行して、長期的に生態系の回復を見据えた取り組みを進めることです。



サケの遡上と栄養循環

さらに忘れてはならないのが、サケの遡上を妨げる捕獲柵の影響です。

本来シロザケは海から川を遡上し、上流で産卵して命を終えます。

その死骸は分解されて川や森の栄養となり、昆虫や鳥、哺乳類にとって大切な資源でした。

ところが、人間が川に柵を設けて途中でサケを捕獲するため、上流の生態系に栄養が届かなくなっています。

実際、北海道に遡上するサケの90%以上は人工ふ化放流由来であり、自然産卵で再生産される個体は全体のわずか数%にとどまっています。

効率的な漁業の仕組みとしては機能しても、森と川を支えてきた大きな栄養循環を人間が断ち切ってしまっているのです。

しかも、資源が激減している今こそ自然産卵の重要性が増しているにもかかわらず、日本のサケ漁業は国際的に「持続可能」とは評価されていません。

サケは世界的に見ても限られた地域でしか獲れない貴重な資源ですが、日本のサケ漁はMSC認証(海のエコラベル)を取得できていないのが現実です。

人工ふ化に依存したやり方は、栄養循環を断つだけでなく、持続可能な漁業という国際基準からも外れてしまっており、自然にも社会にも「何一つ良いことがない」と言わざるを得ません。



必要なのは「生態系の視点」

日本人に欠けているのは「生態系という仕組みを理解する視点」です。

赤とんぼの減少を「田舎の風景が寂しい」と捉えてしまう限り、問題は解決しません。

それは、人間の暮らしを支える生態系が壊れつつあるという警告なのです。

生態系の知識を持っていれば、行政や研究者が科学的根拠に基づいて進めようとする施策に対して、意味のわからない理由で反対・賛成することは減ります。

感情論に流されず、冷静に判断できるようになります。

つまり、生態系を理解すること自体が、自然を守るだけでなく社会を正しい方向へ進めるための第一歩になるのです。

私たちに必要なのは、生態系のつながりを理解し、全体をどう回復させるかを考える姿勢です。それこそが、未来の自然と暮らしを守る唯一の道なのです。



出典

  • 山口起儀「アキアカネ激減、30年前の100分の1も 農薬影響か 奈良で」毎日新聞、2025年9月
  • Yamamuro, M. et al. (2019) Neonicotinoids disrupt aquatic food webs and decrease fishery yields. Science.
  • Sánchez-Bayo, F. (2016) Contamination of the Aquatic Environment with Neonicotinoids and Its Implications for Invertebrate Declines. Frontiers in Environmental Science.
  • Estes, J.A. et al. (2011) Trophic Downgrading of Planet Earth. Science.
  • Paine, R.T. (1969) A note on trophic complexity and community stability. The American Naturalist.
  • Ripple, W.J. & Beschta, R.L. (2012) Trophic cascades in Yellowstone: The first 15 years after wolf reintroduction. Biological Conservation.
  • 北海道水産林務部「北海道におけるサケ増殖事業の現状」2022
  • 水産庁「サケ・マス資源の現状と課題」2020
  • Marine Stewardship Council (MSC) 公式声明

※本記事は信頼できる一次資料をもとに調査・構成され、2025年にChatGPTのサポートによって作成されました。




それではまた。





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