こんにちは。Johnです。

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マダイ(真鯛)は日本近海の沿岸から沖合にかけて広く分布する代表的な魚で、釣り人にとっても人気の高いターゲットです。

釣れるサイズも幅広く、小型のチャリコから大型の年無しサイズまで、多くの釣り人が狙っています。

しかし、こうした魅力的なターゲットだからこそ、「どのサイズをリリースし、どのサイズをキープすべきか」という判断は、釣り人一人ひとりが真剣に向き合うべきテーマです。

この記事では、マダイの産卵期や成熟サイズに関する科学的知見をもとに、「持続可能な釣り」を実践するためのリリース・キープ基準を提案します。

なんとなくリリース、なんとなくキープ、ではなく、科学的な根拠に基づいて判断できるようにすることが目的です。



マダイの釣れる時期と産卵期

マダイは地域によって多少の差はありますが、概ね春から初夏(4月〜6月)にかけて産卵を行います。

とくに水温が18〜20℃に達する時期に活発な産卵行動が見られることが知られています。

この時期は産卵を意識した接岸や浅場への移動が起こるため、岸からでも比較的大型の個体が釣れやすくなります。

一方で、まだ繁殖経験のない未成熟な個体も混じりやすく、サイズに応じた慎重な判断が求められます。



マダイの成熟サイズと割合

※本記事におけるサイズはすべて全長(Total Length, TL)で表記しています。学術文献では体長(Standard Length, SL)が用いられる場合もありますが、釣り人にとって分かりやすいよう換算して統一しています。

マダイの成熟に関しては、性差や成長速度、地域差もありますが、一般的に全長25〜30cm前後で初めて成熟しはじめるとされています。

複数の調査によれば、30cmを超えると半数以上の個体が成熟し、35cmを超えるとほぼすべての個体が成熟済みという報告もあります。


【マダイの成熟割合(目安)】
全長(cm)成熟割合の目安解説
〜24cm約0〜10%ほとんどの個体が未成熟
25〜29cm約30〜50%一部が成熟。未産卵の個体が多い
30〜34cm約50〜90%多くが成熟。産卵経験の有無は個体差あり
35cm以上ほぼ100%ほとんどが成熟済み。繁殖経験を持つ可能性が高い

なお、30cm前後の個体でも性成熟しているものは多く、外見では判断できません。

これは魚類に多く見られる特徴で、見た目にはまだ若い・小さいと感じるサイズでも、すでに卵や白子を持つことが可能です。

ただし、ここで重要なのは「成熟しているか」だけでなく、「実際に産卵したかどうか」です。

魚類では、初めて成熟した年の産卵には失敗が多く見られ、放卵せずに卵を吸収してしまう個体や、繁殖行動がうまくできず産卵に至らない個体も確認されています。

つまり、成熟=産卵とは限らないのです。

35cm以上であれば、多くの個体が実際に産卵を経験し、次世代を残している可能性が高いと考えられます。



成長乱獲を避けるために

水産資源管理の分野では、産卵を経験する前に漁獲されてしまう状態を「成長乱獲」と呼びます。

これは、魚が次世代を残す前に獲られてしまうことを意味し、資源の再生産を著しく妨げる行為です。

海外の漁業先進国では、こうした成長乱獲を防ぐために「最小体長規制(Minimum Size Limit)」が導入されており、産卵経験のないサイズの個体を持ち帰ることは原則として禁じられています。

日本の釣りでは、こうした法的規制はほとんど存在していません。

本来であれば国や自治体が導入すべき仕組みですが、現状では釣り人一人ひとりが自主的に判断するしかありません。

だからこそ、私たち自身が科学的なデータに基づいて、適切なサイズを見極めることが求められています。



リリースとキープの基準

ここまでの科学的データと実例をふまえて、マダイ釣りにおけるリリースとキープの判断基準を提案します。

この基準は、「一度でも産卵を経験した可能性が高いサイズかどうか」を重視し、科学的根拠に基づいた、水産資源を守りながら釣りを楽しむためのガイドラインとして機能することを目指しています。

【マダイのリリース・キープ基準】
全長(cm)判断基準解説
〜29cmリリース成熟割合が低く、産卵未経験の可能性が高い
30〜34cm可能な限りリリース成熟個体が多いが未産卵個体の可能性もある
35cm以上キープ可ほぼ100%が成熟済み。産卵経験があると判断される

この表は、科学的な成熟データに基づき作成したもので、「資源に貢献した個体かどうか」を判断する一つの目安になります。

現場では釣果や食べたい気持ちもあると思いますが、ぜひこの表を参考に、一尾ごとの選択を意識してみてください。



資源を大切に

釣りを楽しみながら、未来の海を守るという選択肢は、私たち釣り人自身の手に委ねられています。

小型のマダイが釣れたとき(いわゆるチャリコサイズ)、「この魚は成熟しているだろうか?」「未来の海に子孫を残しているだろうか?」と、ほんの一瞬でも立ち止まって考えてみてください。

科学的根拠に基づいて判断することが、私たちにできる最も確かな行動の一つです。

その一尾を逃がす選択が、未来の釣り場を守る力になります。



参考文献・出典

  • 西野隆・福島利昌(1995)「宮崎県日向灘沿岸におけるマダイの成熟と産卵」『宮崎県水産試験場研究報告』9: 15–26
  • 広島県水産試験場(2002)「瀬戸内海におけるマダイの再生産特性調査報告書」広島県農林水産部
  • 水産庁(2012)「持続的な漁業のための資源管理指針」水産政策審議会資源管理分科会
  • FAO (2022). “Growth overfishing: A definition and impact.” Fisheries Glossary.
  • 独立行政法人 水産総合研究センター「成長乱獲とは何か」水産資源管理入門資料
※本記事の構成・データ調査・科学的根拠に基づく提案は、上記の文献をもとに作成されています。


魚種別一覧表はこちら。





それではまた。





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