こんにちは。Johnです。

我々釣り人は大きく二つに分ける事が出来ます。

魚が釣れない事を魚のせいにする人と、魚が釣れないのは自分が悪いと考えて対策を練る人です。

魚が悪い!と考えるのが一番楽で責任を負わない方法です。

しかし、それではいつまで経っても釣りが上手くなれません。

堤防の上にフグやスズメダイを捨てていくタイプの人は、おそらく魚のせいにしている人でしょう。

何でもそうですが、魚のせいにするとか、人のせいにしていては何も改善されません。

自分が悪い。

どこを間違ってしまったのか。

問題解決するために自分には何ができるのか。

それを考えられるのが「上手な釣り人」です。

そして、これは単なる個人的問題ではなく、日本という国が抱える大問題に発展しています。






年々減っていく魚

1980年頃をピークに、日本の漁獲量が減り続けている事をご存知でしょうか。

(現在ピーク時の3割まで減少)

当時、漁獲量ランキングで1位に君臨し続けていた日本は、今ではトップ10にすら入っていません。

かつては海の色が変わるほど泳いでいたイワシやニシンが激減し、イカ、タコ、サケ、サンマ、イカナゴ、マダラなどの多くの資源が減り続けています。

  • 中国が悪い
  • 温暖化が悪い
  • クジラが悪い

などの理由をよく聞きます。

果たして本当にそうなのでしょうか。

ちなみに、漁獲量が減っているのは世界で日本くらいのものです。

え?日本だけ?

他国は右肩上がりに漁獲量を増やし続けています。

なぜでしょうか。

日本だけ減り続けて、他国は増え続けている。

実は、日本の漁場はこれ以上望めないほど恵まれた海域なのです。

では、その恵まれた海で魚が減り続けている理由は何なのか。

中国のせいでしょうか。

中国が僅かに魚を獲っていくかもしれませんが、中国船が来ないエリアでも漁獲量が大きく減少しています。

→中国が悪いなら、中国船の影響がない瀬戸内海では漁獲量は減少しないはず。

また、温暖化は日本だけで起こっているのではなく、地球全体の問題です。

→温暖化が悪いなら、日本だけではなく世界中で漁獲量が減少しているはず。

そして、漁獲量が増え続けている他国の海域には、日本の周辺よりも遥かに多いクジラが生息しています。

→クジラが悪いなら、クジラの多い他国ほど漁獲量が減少しているはず。

ですが、日本を除く世界中で漁獲量は増え続けています。

従って、これらの通説では日本だけ漁獲量が減っている説明にはならないのです。







魚が減るのは日本が悪い

漁獲量が増え続ける他国と日本の違いはどこにあるのか。

決定的な、最も分かりやすい違いがあります。

早いところで80年代から資源管理に取り組み、魚を増やす努力を続けてきた他国。

資源管理をいまだに行わず、獲れるだけ取り尽くして魚がいない日本。

答えは明白。

資源管理をしていないから。

これほど分かりやすい答えがあるでしょうか。

自分たちは対策をせず、乱獲して魚がいなくなったら中国や温暖化のせいにする。

最悪です。

日本は何と恥ずかしい国でしょうか。

日本の漁業は、まるで植物を食い荒らすイナゴの群れのようです。

世界銀行の漁獲量予測では、2010年から2030年までに世界全体で平均23.6%の漁獲量アップが見込まれているのですが、残念ながら日本だけマイナス9%です。

(現在の日本は予想よりもさらに悪化しています)

世界は日本が資源管理をせず、魚を獲り尽くしている事をよくご存知のようです。

恵まれた海域である事に甘え、稚魚だろうが幼魚だろうが全部捕まえているのが日本です。

一方、稚魚や幼魚を避け、大きな魚を一定量獲っているのが資源管理をしている他国です。

世界では魚の価値が上昇し、売り上げもどんどん増えています。

それと比べて、日本は漁業のレベルがあまりにも低いです。

本当に先進国なのでしょうか。

少なくとも漁業に関しては、完全に後進国であると言わざるを得ません。

世界の漁業は成長産業である一方で、日本の漁業は衰退の一途を辿っています。

魚が増え、来年も再来年も魚が獲れる事が分かっている世界の国々と、魚を根絶やしにして廃業が増える日本。

どちらが進むべき道なのか一目瞭然です。



2011年3月11日に東日本大震災が発生しました。

津波に全てが飲み込まれ、とてもじゃないですが漁業などできない状況が数年続きました。

その結果、海の資源が劇的に回復し、漁業再開直後はたくさんの魚が獲れたのです。

しかし、今ではもう獲り尽くされて元の状態に戻りました。

この事実だけでわかると思います。

魚は獲らなければ自然と増えるのです。






1月17日の共同通信の記事によると、獲りすぎを防ぐためブリに10万1000トンの漁獲枠を設けたそうです。

ヤフーのコメントを見ると、漁獲枠が設定されて良かったと喜ぶ声や、中国が悪い、温暖化が悪いと言った内容のものが多く、まだまだレベルが低いなと感じました。

そもそもの話、漁獲枠を下回る量の魚しか獲れていないのに、実際に獲れる量より大きい枠を設定したところで全く意味がありません。

これでは獲り放題です。

本来漁獲枠の役割とは、「全力でやれば100匹獲れるけれど、それだと来年以降魚が居なくなってしまうから、30匹までに抑えて資源を維持・増加させよう」と言うものです。

それが資源管理です。

今回のブリの話は、100匹獲れるから枠は150匹に決めましたと言う内容です。

全く役に立たない漁獲枠の設置。

資源管理をする気が全くない。

相変わらずの乱獲。

いつまでこんなバカな事を続けるのでしょうか。

唯一機能していると言えるのは、外圧によって設けられたクロマグロくらいです。



資源管理をしてから言え!

別にいいと思います。

中国が悪いと言うのも、温暖化のせいにするのも。

好きにすればいい。

でも、順番が違いますよね。

まずは資源管理をきちっと行い、他国を見習って魚を増やす、獲りすぎない。

海外では資源管理の成功例があるのだから真似をすれば良いだけです。

そこから、二度と乱獲しないように厳密に数字をだして、持続可能な漁業を行う。

ここまで出来てから文句を言うべきです。

何もせず、都合の悪い事は人のせいにするって本当に恥ずかしい事です。

それでは全く改善されません。

しかし、獲りすぎだからと言って漁業者に自主的な資源管理を求めるのは違います。

漁師が悪いのではなく、厳格なルールが定まっていない事が悪なのです。

これは国の問題です。

釣りのライセンス制度についてもそうですが、国がしっかりルールを定めないと明るい未来は来ないのです。

経済も水産も日本はどうしてこうなのか。

本当に嫌になります。

目の前に分かりやすい大きな問題が転がっていても、それは無視して優先順位の低い問題に取り組むのが恒例行事です。

例えば、LGBTや夫婦別姓など。

それよりも国内経済は?復興優先では?

意味がわかりません。

いつになったらまともになるのでしょうか。







↑詳しいデータが見たい方は上記リンクを参考にしてください。



釣り人には関係ない?

この記事を読んで「自分は漁師じゃないから関係ない」と思った方がいるかもしれません。

日本が資源管理をするか否かは、趣味として釣りを楽しむ人にも大きな関係があります。

昔と比べて釣れなくなった。

魚が少なくなった。

そんな話を聞いた事があるのではないですか?

今釣りが難しくなっているのは、魚の数が減っているからです。

少々無理をしてでも、あの手この手を使って少ない魚を釣っている現状。

日本が真剣に資源管理に取り組み、魚が増えればもっとイージーに、もっと大きな魚が釣れるようになります。

そのためには、日本人は正しい知識を身に付ける必要があります。

人のせいにしない。

漁業後進国からの脱却。

2050年には日本の漁獲量はゼロになると言われています。

本気で取り組めばまだ間に合います。

一刻も早く、正しい資源管理とライセンス制度の導入を。



それではまた。







最後までお付合いありがとうございました。
わかりやすい記事作りが出来るよう今後も精進してまいります。